動画URL https://youtu.be/AVwD1KQZkqM
2019.04.16放送
記事 https://www.tv-asahi.co.jp/m-show/contents/detail/0495/
バクテリアで水質浄化 “エコ” 陸上養殖
最新浄化システムで魚を陸上養殖
ヒラメやフグといった魚を陸上で養殖する場合、定期的に水を入れ替えなければなりません。しかし「1年間ほど水を替えないで魚を養殖できるシステムを開発しました」。そう語るのは大谷洋士さん(52)。養殖の世界を変えるかもしれない、この画期的な浄化システム開発の舞台裏に羽鳥慎一キャスターが迫りました。
滋賀県草津市にある立命館大学びわこくさつキャンパスに、大谷さんが開発したシステムで稼働する水槽があります。中には魚がいますが、餌のカスや魚の糞などは一切なし。その秘密は「それらを吸い込んで分解し、バクテリアの力で処理しながら、循環させているんです」。水圧で粉砕され、細かくなった汚れはろ過機の中のバクテリアによって分解。きれいになった水を循環させているため、排水の必要がないのです。
複数のバクテリアを混ぜて使用
バクテリアは天然の池などにいる自然由来のものと、乳酸菌など食物由来のものを複数種類混合して使っているそうです。大谷さんによれば「食物由来のほうが効果があるバクテリアもいますので、それを組み合わせたということですね」。
このシステムのメリットの一つはコストです。「多分、3分の1とか4分の1ぐらいだと思います」。また、きれいな水で魚が育つため、成長が早く、その味にも違いが出るそうです。「どの天然、どの養殖のヒラメよりも雑味を感じない。大谷さんのところのは上質なヒラメです」と料亭の店主は話しています。
平等院「阿字池」も浄化
大谷さんは35歳で起業した会社で、商業施設を手掛けていました。必要とされたのが、広場に欠かせない水辺です。しかし、「アオコとかアオミドロが出て、もうドロドロの池になってしまう場合が多くて」。子どもたちが遊べるきれいな水辺をつくりたい。この思いがすべてのきっかけでした。
水質浄化について勉強を始め、気になったのが「山の中のせせらぎというのは落ち葉とか枯れ枝とかいろんなものが入っているのに、流れている水は透明」だということです。そこにバクテリアがどう絡んでいるのか。どう定着させれば水がきれいになるのか。バクテリアの研究に取り掛かり、自然由来のバクテリアを食物由来のものを混合させることにたどり着きます。しかし、アオコなどはバクテリアの力だけでは分解できなかったのです。そこで粉砕する装置を新たに考案。藻や餌のカス、魚の糞などを粉砕し、バクテリアが分解しやすいようにすることで目指した浄化システムを完成させました。
この技術を生かして、池の水をきれいにしようという取り組みも行っています。その代表的な場所が京都・宇治の平等院です。かつては茶色に濁っていた「阿字池(あじいけ)」が今では鳳凰堂が水面に映り、底に沈む石もはっきりとわかるほどきれいになっています。